佐世保小6女児同級生殺害事件（いわゆるNEVADA事件）から20年

　長崎県佐世保市の小学校で2004年、同級生に殺害された小学6年生の女児（当時12）の兄（34）が、自らの体験を語り続けている。事件から6月1日で20年。心の傷になお苦しみながら、十分なサポートが得られなかった当時の経験をふまえ、被害者支援の改善につなげたいと願う。

　衆議院第一議員会館（東京）で5月14日、国会議員や行政関係者、被害者遺族らに講演した。「事件は昨日のことのよう。遺族が苦しむ時間を減らすには何が必要か、気づいてもらえたら」

　佐世保市立大久保小学校で、妹の御手洗怜美（さとみ）さんが同級生にカッターナイフで殺害された――。20年前の6月1日午後、中学3年生だった男性は、学校のカウンセリングルームに呼び出され、校長から手渡されたA4判のネット記事で、妹の死を知った。泣いたり、うつむいたりする教師ら7、8人に囲まれ、何もわからないまま数時間が過ぎた。

　夕方、警察の車で、学校に現れた父の目は泳ぎ、焦点が合っていなかった。「妹の後を追って死ぬかもしれない」。その瞬間、父の前で泣かない、逆らわないと、心に誓った。母は事件前に病死しており、頼れる大人はいないと思った。

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