【長野】7年前の中学男子死亡事故・時効前に「ひき逃げ」で起訴

SBC信越放送　2/8(火) 9:21

7年の時効を目前に控え、「異例」の起訴が明らかになりました。
2015年、佐久市で中学3年の男子生徒が車にはねられ死亡した事故で、地検は、当時「わき見運転」の罪に問われ、執行猶予付きの有罪判決を受けた男を「ひき逃げ」の罪で起訴しました。
（和田善光さん）「必ず救護義務違反にあたると信じて、ずっと検察庁なりに働きかけてきた」。
和田善光さんと真理さん。
当時中学3年だった長男の樹生さんを亡くしました。
（和田真理さん）「助けてほしかっただろうに、1分でも1秒でも早く救急車を呼んでほしかったと思う」。
道路交通法の救護義務違反＝「ひき逃げ」などの罪で先月26日に起訴されたのは、北佐久郡に住む池田忠正被告49歳です。
地検によりますと、7年前、佐久市の路上で樹生さんをはねた後、直ちに救護をせず申告を怠ったとされます。
この事故をめぐっては過去に2度の裁判が行われていて、今回は3度目となる「異例」の起訴です。
2015年3月23日。
樹生さんは夜、塾からの帰宅途中に、池田被告の運転する車にはねられ死亡しました。
池田被告は飲酒を隠すために、事故後、近くのコンビニで口臭防止剤を買って飲んでいたとされます。
しかし、アルコールの検査が基準値未満だったことなどから、地検佐久支部は「わき見運転」の罪のみで起訴。
判決は禁錮3年、5年の執行猶予が付きました。
両親は4万筆以上の署名を提出し「罪が軽すぎる」と訴えましたが、控訴は見送られました。
「父のように海外で活躍する仕事」を夢見ていたという樹生さん。
高校生活がはじまろうという矢先の出来事でした。
車に跳ね飛ばされる緑色の人影。
樹生さんです。
両親は自ら事故について調べ、防犯カメラの映像をもとに専門家に依頼し事故当時のCGを作成。
当時、樹生さんの身に何が起きたのか、本当のことを知りたいとの思いからです。
（真理さん）「真実に即したかたちで加害者にきちんと処罰を与えたい、それが残された私たちにできること」。
2019年には、同じ事故をめぐって今度は「スピード違反」の罪を問う2度目の裁判が開かれましたが、裁判所は訴えを棄却しました。
去年12月、真理さんは長野市を訪れました。
（真理さん）「第一発見者に秋に話を聞いたときに樹生が目を開いていたと聞いて、もしかしたら助かったかもしれないと」。
長野地方検察庁に、事故から7年の今年3月に時効を迎える救護義務違反＝「ひき逃げ」での起訴を求めていました。
「事故があったときは直ちに負傷者を救護し必要な措置を講じなければならない」。
私たちは直後の様子を目撃した男性に話を聞くことができました。
（目撃者の男性）「人をはねちゃったんだけどその人がどこ行ったかわからない、ウロウロとかしたくらいでたいして動いてないですね」。
こうした目撃証言や、両親の調査などから浮かび上がる池田被告の行動です。
事故に気付き、車を止めると横断歩道付近に向かいます。
周辺でいったん樹生さんを探しますが、発生からおよそ3分後には車に戻ったとみられます。

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