【ブラジル】叔父にレイプされた10歳少女の中絶めぐり支持者と反対派が対立

【記者：Tom Phillips、Caio Barretto Briso】
　ブラジルで、叔父からレイプされたとみられる10歳の少女に病院で合法的に人工妊娠中絶手術を受けさせるため、多数の人々が抗議運動を展開した。中絶手術をめぐり、少女は宗教的な過激主義者に攻撃されていた。

　南東部エスピリトサント州在住の少女は今月7日に腹痛を訴えて診察を受けたところ、妊娠が判明。入院した。少女は警察に対し、6歳の頃から叔父（33）に性的虐待を受けていたものの、恐怖で打ち明けられなかったと話した。叔父の男は逃走した（後に逮捕された）。

　中絶を厳格に禁じるブラジルの法律は、大部分が1940年に制定されたものだが、例外として、レイプされて妊娠した場合か、母体に危険が及んでいる場合、または胎児が無脳症と診断された場合には中絶を認めている。にもかかわらず、この少女は、中絶手術を受けるため約1500キロ離れたレシフェまで飛行機で移動しなければならなかった。エスピリトサント州内の病院が少女の中絶手術を拒否し、政治を巻き込んだ法廷闘争に発展したためだ。

　少女が今月16日午後、手術を受けるため病院に到着すると、玄関前は極右の中絶反対派や政治家らで埋め尽くされていた。状況を撮影した映像によると、中絶反対派は病院スタッフや少女に対し暴言を吐き、院内に入るのを制止しようとしていた。

　女性の権利擁護のためにレシフェで活動するエリサ・アニバル氏は、「レイプされた揚げ句、命を危険にさらされて中絶する10歳の少女が犯罪者扱いされているのを見ると、ブラジルで宗教の過激化が進んでいることを実感する」と話した。

　病院の場所はセキュリティー上の理由から伏せられていたものの、極右のジャイル・ボルソナロ大統領の熱烈な支持者が情報を拡散したことから、活動家らは場所を突き止めた。

　少女の名前を公表したのは、ボルソナロ氏の熱烈な支持者でもある過激主義者のサラ・ジロミニ氏で、英紙ガーディアンが確認したネット上の動画（後に削除された）によれば、同氏は当局が少女を誘拐し、チャーター機で移動させて中絶手術を受けさせたとデマを流していた。

　女性が中絶する権利を擁護する活動家、パウラ・ビアナ氏はレシフェの空港から病院まで少女に付き添った。タクシーで病院に向かっている最中、中絶反対派の活動家らが待ち構えているという警告を受け、タクシーを止めて車のトランクに少女を隠し、通用口から建物に忍び込ませた。

　女性の権利団体で活動するビアナ氏は、「ブラジルには、このように（中絶に）憎悪を示す人々に賛同する大統領がいるので（こうした事態は）驚きではなかった」と述べる。

　中絶反対派が待ち伏せしている話がレシフェのフェミニスト・コミュニティーに広がり、アニバル氏のソーシャルメディア上の呼び掛けに応え、少女の中絶する権利を守ろうとする人々はこぞって病院に向かった。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/2a609e9d7822a1abf9f7028cfbe619790bbf4e07