1960年代半ばにロサンゼルスへ移ったホックニーは、同地の光や住宅、プールをモチーフにした作品で広く知られるようになった。《A Bigger Splash》(1967)は、その象徴的な一作にあたる。また同性愛や自身の私生活に根ざした主題を作品へ取り込んだ点も、彼の仕事を特徴づけた。《Portrait of an Artist (Pool with Two Figures)》(1972)は、当時すでに関係を終えていた元恋人のピーター・シュレシンジャーを描いた作品として知られ、2018年にはクリスティーズで9030万ドル(当時の為替で約102億4400万円)で落札された。
ホックニーは、新しい技術を制作に取り込むことにも積極的だった。晩年にはiPadを用い、2011年にはイースト・ヨークシャーのウォルドゲートの風景を描いた「The Arrival of Spring(春の訪れ)」シリーズに着手した。当初はキャンバスでの制作を予定していたが、冬の寒さのなか長時間立ち続けて描くことに気が進まず、iPadへと切り替えたという。2025年10月には、このシリーズのiPadドローイング17点がサザビーズ・ロンドンに出品され、合計620万ポンド(当時の為替で約12億5500万円)で完売。予想最高価格の2倍を超え、ホックニーのプリント作品の最高落札記録が当日に3度更新された。
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