- 1 : 2021/01/31(日) 16:42:29.44 ID:lckiJ0/k0
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ソ連が崩壊してから、今年(2021年)で30年になります。それによって、「社会主義とはもはや過去のもの」と考えている人たちも多いのではないでしょうか。
東欧諸国で愛された東ドイツ製の小型乗用車「トラバント」
ただし、「なぜ社会主義が崩壊したのか」をしっかり捉えておくことは、今後の社会のあり方を考えるためにも重要です。
というのも、社会主義が崩壊したからといって、それは「資本主義が成功した」とは必ずしも言えないからです。実際、現代社会では、連載の第51回でも論じたように、過度に進んだ金融化のために不平等性が拡大して、社会のあちらこちらに歪みが生じています。
なぜ社会主義が崩壊したのかと問うことは、資本主義が崩壊しないためにも重要なことではないでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e33ce83b134fdd19c987dabc15e9231ed0f273c?page=1
- 2 : 2021/01/31(日) 16:43:00.27 ID:lckiJ0/k0
■ 高い経済成長率を示した社会主義国ロシア革命が起きたのは1917年のことでした。それから第二次世界大戦が終わるまで、社会主義国はソ連しかありませんでした。しかし、戦後になると、東ヨーロッパ諸国(ブルガリア、チェコ・スロヴァキア、東ドイツ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、ユーゴスラビア)が軒並み社会主義化しました。
そこから世界は、アメリカを中心とする資本主義陣営(西側)と、社会主義陣営(東側)とに分裂してしまいます。アメリカとソ連が現実に戦争することはありませんでしたが、社会主義陣営は、西ヨーロッパに大きな脅威となりました。
西ヨーロッパは、ソ連と東ヨーロッパ諸国に対抗するため、1952年、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)を形成します。加盟国はフランス・ 西ドイツ・イタリア・ベルギー・オランダ・ルクセンブルクでした。これが、現在のEUの前身となります。- 3 : 2021/01/31(日) 16:43:28.92 ID:lckiJ0/k0
■ 犬猿の仲だったドイツとフランスが呉越同舟ここで重要なことは、西ドイツとフランスが加入したことでした。ドイツとフランスは中世以来しばしば戦争をしていました。両国は非常に仲の悪い国同士だったのです。
逆に言えば、この二国の仲が良いかぎり、西ヨーロッパに戦争は生じません。この二国が揃ってECSCに加わったのは、東ヨーロッパの社会主義の脅威が非常に強く、このままでは東ヨーロッパにやられてしまうかもしれないという恐怖感があったからです。
その恐怖感は、仲の悪かったドイツとフランスを同じ共同体に入れてしまうほどに大きかったのです。社会主義のおかげ、あるいは東西冷戦のおかげで、西ヨーロッパは平和になったとも言えるのです。当時を知らない人は驚くかも知れませんが、戦後しばらくのあいだ、東ヨーロッパの社会主義諸国は、西ヨーロッパよりもむしろ経済成長率は高かったのです。現代では「大きな政府よりも小さな政府の方が経済成長を促し、自由主義経済であれば経済が成長する」と捉える人も多いと思いますが、それは歴史的には根拠がないことだと、この事実からも言えるのです。
具体的には、東ヨーロッパ諸国の経済成長率は、1950~60年代は年間7%で、西ヨーロッパ諸国平均の4.6%を大きく上回っていました。しかし、一人当たりの産出高の伸びを見ると、西ヨーロッパ諸国の4%に対し、東ヨーロッパ諸国は5.7%と、差が小さくなっていました。これは、東ヨーロッパ諸国の方が人口増加率が高かったからです。
東ヨーロッパ諸国は、第二次世界大戦が終わったときにはほとんどが農業国であったのですが、そこから工業国に変わろうとしていました。なかでも力を入れていたのは生産財(原材料や工作機械など)の生産です。
社会主義国が経済を捉える基礎としていたマルクス経済学は、19世紀後半のイギリス経済をもとにした経済学です。この時代には鉄鋼業が発展していました。そのためマルクス経済学は生産財を重視し、消費財は軽視されがちでした。実はこれが、社会主義国にとって致命的な問題となったのです。
- 4 : 2021/01/31(日) 16:43:58.29 ID:lckiJ0/k0
社会主義諸国では、それぞれが5カ年計画により、何をどの程度生産するのかが決定されました。それを決定するのが中央政府であり、高度な中央集権体制を築きます。しかし国家は当然ながら万能ではありません。
各国の中央政府は生産財の生産にばかり目を光らせ、商品の流通過程の検討はないがしろにされました。そのため、消費者に必要な消費財はなかなか届かないという事態が常態化するようになっていきました。特にこの時代の東ヨーロッパの経済成長は重工業に基づくものでしたので、消費財の供給はいっそう蔑ろにされました。そのため東ヨーロッパ諸国の人々は、西ヨーロッパの人々ほどには「豊かさ」を実感することが出来なかったのです。
■ 社会主義経済はどのように衰退したのか
東ヨーロッパ諸国の経済成長率は、1973年の7.3%をピークとして、低下していきます。1980年代後半になると、世界の経済成長率よりも低いことが多くなります。
その大きな要因となったのは、1973年の第一次石油危機と、1978~79年の第二次石油危機でした。この二つのショックで、社会主義経済の脆弱性が露呈されたのです。
ECSCから発展したEC(欧州共同体)は、1975年まで、エネルギーの約60%を第三世界から輸入していました。それに対しソ連、ルーマニア、ポーランドは石油の輸出国でしたので、実はこの時でも東ヨーロッパ諸国の方が経済成長率を伸ばすポテンシャルがありました。
しかし問題は採掘コストでした。シベリアに大量の石炭が埋蔵されていたのですが、採掘コストと輸送コストがべらぼうに高く、経済的に見合わなかったのです。
さらに、東ヨーロッパ諸国に「省資源」という概念はあまりなかったことが大きな問題になりました。マルクス経済学は、多くのものを生産すれば良いという考えに基づいていたので、生産性という概念はあまりなかったのです。
- 5 : 2021/01/31(日) 16:44:27.19 ID:lckiJ0/k0
そこで東ヨーロッパ諸国は、借金をして西ヨーロッパから最新式の機械を導入し、輸出主導型の経済成長をしようと努力しました。しかし今度は、それを実現するための技術者があまりいないという現実に直面しました。
GNP一単位あたりのエネルギー消費量は、東ヨーロッパは西ヨーロッパの二倍ほどもありました。二度のオイルショックを経て、西ヨーロッパは省資源型経済への移行をはじめたのですが、東ヨーロッパはそれができなかったのです。ソ連では、1985年にゴルバチョフが共産党書記長に就任すると、矢継ぎ早に経済改革を推進しました。1987年には個人企業の解禁、企業自治、外国との合弁事業などを認めます。こうして、共産党一党独裁の国家でありながら、中央計画経済から市場経済への移行が試みられたのです。
しかし、モノ不足とインフレが進み、財政赤字と対外債務が増加していきます。経済は混乱し、ソ連経済はますます困窮しました。追い詰められたゴルバチョフは、1990年に共産党書記長のまま大統領に就任、さらに同年8月には、共産党の一党独裁体制が廃棄されます。複数政党制と大統領制を導入し、危機を乗り切ろうとの試みでした。
しかし東欧諸国が次々に民主化、そして社会主義国の本丸であるソ連も、連邦制下にあった国家が相次いで独立していきます。最終的に1991年12月、ロシア連邦共和国を中心に旧ソ連の11の共和国が独立国家共同体(CIS)を結成し、ソ連邦は消滅することになりました。1917年のロシア革命から74年後、1922年にソヴィエト社会主義共和国連邦誕生から69年で、社会主義の元祖は滅びます。
東西冷戦の象徴ともいえるベルリンの壁は、1961年に作られ、1989年に破壊されました。当時は強固な壁のように思われていましたが、思えばたった28年間しか存在しなかったのです。社会主義も東西対立も、実はほんの短期間の出来事でした。
40代後半以上の人にとって「ベルリンの壁の崩壊」や「東西冷戦終結」は世界が変わるほどのビッグニュースでしたが、もしかしたら近い将来には、「東西冷戦」などという概念は世界史的にもほんの些細な出来事として扱われてしまうのかもしれません。- 6 : 2021/01/31(日) 16:44:58.75 ID:lckiJ0/k0
■ 今や社会主義国は5カ国のみ東ヨーロッパ諸国が社会主義から資本主義へと移行すると、その動きはアジアにも影響を及ぼしました。モンゴルも1990年に社会主義を放棄したのです。こうして社会主義経済は、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバだけになりました。
しかし、中国とベトナムは資本主義経済の要素をずいぶん強くしていますし、北朝鮮は独裁国家というべきです。純粋な意味での社会主義は、もはや滅んだといっても差し支えないでしょう。東ヨーロッパの社会主義に関して言えば、前述したように、生産財を重視し、消費財を軽視する傾向が強かったため、人々の生活水準はあまり上がりませんでした。
マルクス経済学は、重化学工業を発展させ生産量を増大させることに力点が置かれていましたが、それに比べると生産性は重視されませんでした。こうした社会体制の中、高い経済成長率をマークできても、人々が豊かになることはできず、次第に不満が高まっていきました。さらに計画経済においては、いったん生産量を決めてしまうと、その後ニーズが増えた商品でも生産することは困難でした。すると品薄になった商品を購入するために長い行列ができました。資本主義経済なら品薄になれば価格が高騰し、さらに進めばインフレが生じます。ところが同じ品薄状態でも、社会主義経済では行列が生じてしまったのです。
しばしば社会主義経済では、市場メカニズムがなかったことが失敗の原因だったとされます。しかし市場メカニズムだけで、消費者が必要とする商品を必要な量だけ生産し、消費者のもとに届けることができるというわけではありません。
- 7 : 2021/01/31(日) 16:45:21.20 ID:lckiJ0/k0
実際には生産してみてはじめて、消費者がその商品を本当に欲しがっていたかどうかが分かるのであり、消費者は事前に「自分が欲しい商品がどれか」など知っているわけではないのです。マーケティングの手法が発達した現在でも、「予想外のヒット」とか「期待外れの新商品」があるのはそのためです。つまり、市場は決して万能ではないのです。ともすれば忘れがちですが、これも重要な事実です。まだソ連が健在で東欧諸国が社会主義体制だったころ、西側陣営では大衆消費社会が生まれ耐久消費財の購入が増えていきました。それに対して重工業重視の東側陣営では、そのような現象は起きませんでした。当時の社会主義国の様子を端的に物語るものとして、最後に次の文章を引用しておきます。
〈人工衛星を世界に先んじて飛ばした大国ソ連でも、庶民の消費生活はまだ驚くほどに窮屈である。
洗濯機用の粉石けんはめったに売り出されないので、たまに売りに出されると、黒山の人だかりであっという間に売り切れてしまう。またインスタントコーヒーは、もう一年半も町から姿を消しているといったぐあいで、私たちが日常なにげなく使っている雑貨がまったくないか、あっても質が問題にならないほど悪くて、値段が高い。〉(鈴木俊子『誰も書かなかったソ連』文春文庫、1979年、21頁)。
- 17 : 2021/01/31(日) 16:55:08.03 ID:z1c71E1p0
- >>7
ほんとにこんなリバタリアンの御宣託通りの理由で崩壊したんかな
もっと政治的な理由のように思えるが - 8 : 2021/01/31(日) 16:47:08.20 ID:SpSI23Mc0
- ケンモやネトウヨがそんな長文読むと思ったか?
- 9 : 2021/01/31(日) 16:47:40.84 ID:o3tI1qkFM
- そりゃー周りは大不況なのをいい事にブロック経済したからでしょ
- 10 : 2021/01/31(日) 16:50:11.93 ID:qTMEjvOLa
- 重要インフラの水道、電気、ガス、鉄道、航空、通信、郵政は国有でやった方がいい
ソ連型社会主義はクソだが何でもかんでも市場に任せるのは危険 - 11 : 2021/01/31(日) 16:50:45.47 ID:SpSI23Mc0
- 結局計画経済も市場経済も支配を正当化する建て前でしかない
- 12 : 2021/01/31(日) 16:51:24.09 ID:RySZswM+M
- 自国が満たされてて他国がウザいとき鎖国したくなるのはどの時代どの国も同じなんだな
- 13 : 2021/01/31(日) 16:51:34.23 ID:oJGF8v1v0
- さも自壊したかのように言われるけど実際は潰されただけだよね
- 14 : 2021/01/31(日) 16:52:27.32 ID:GA6V1f3B0
- 恐怖右翼がファシズムで
恐怖左翼がコミュニズム父権的な統治が時代送れであることを再認する
- 15 : 2021/01/31(日) 16:53:48.68 ID:e3jC3sggM
- 大鍋飯だから
- 16 : 2021/01/31(日) 16:53:57.25 ID:7GQQ/CrDM
- 今日本が社会主義だったら
市場の需要を無視して100ワニの映画が上映されてたかもしれない - 18 : 2021/01/31(日) 16:57:31.13 ID:SpSI23Mc0
- >>16
今の日本って割とそんな感じじゃ_ - 20 : 2021/01/31(日) 16:58:25.18 ID:iICw4Tp+0
- 別に崩壊してないだろう
直前まで普通にサナトリウムとか賑わっていたしな - 21 : 2021/01/31(日) 17:01:47.53 ID:kzwpMwvr0
- 鄧小平が答え出してくれたじゃん
- 22 : 2021/01/31(日) 17:02:27.38 ID:snb2h9Vk0
- マルクス経済学自体が古い経済活動しか定義できなかったからね
まあ日本もオールドケインジャー信奉者の宮澤喜一とかいたくらいだけどマルクスは経済として読むのは良くない気がする
あくまでも資本主義がうまく行ったあとでのことを想定して書かれてるだけだから - 23 : 2021/01/31(日) 17:03:49.62 ID:c2pOvRTm0
中央が資源の分配を決めるから
余りまくる所と足りない所の差が激しかったとか- 24 : 2021/01/31(日) 17:03:51.57 ID:u7gJLO1Z0
- バトルアニメやなろうやゲームで例えるならラスボスを倒すまではいいんだけど倒した後で内ゲバや粛清が起こってしまう
ある段階を過ぎたらなにもかも上手くいかなくなるあれだよ - 25 : 2021/01/31(日) 17:06:18.27 ID:05B2AzBl0
- 中国🇨🇳が今世界で1番成長してるじゃん
【ソ連】当初は高成長を誇った社会主義国、なぜ崩壊したのか?【東欧】

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