反社会的な男になりたい。　具体的になにすればええの？

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14635605.html

男性へのセクハラ、気づいて　女性から交際迫られ　男性から風俗誘われ

　「女性から体を触られた」「女性との経験がないことを会社で言いふらされた」――。男性が被害にあうセクハラの実態を知って欲しいという声が「＃ニュース４Ｕ」取材班に寄せられた。

　関西で福祉関係の施設に勤めていた男性（４５）は２年ほど前、上司らとの日々の雑談で、未婚の理由や性欲への対処方法などについてよく聞かれたという。小さな職場で、男性は「機嫌を損ねないようにするのに必死で、『縁がないんです』と笑ってその場をやり過ごしたが、苦痛だった」と振り返る。

　男性によると、女性の上司に「しつこく交際を迫られた」といい、仕事で一緒に車に乗ると体を触られた。

　うつ病が悪化し就職して１年足らずで退職。過敏性腸症候群になっていたこともわかった。実家で療養している。「『男が被害に遭うなんて情けない』というプライドがあって相談できなかった」。男性が「被害」を言い出すのが難しい背景には「被害者は女性」という風潮や思い込みがあると感じる。

　また、大阪府の別の会社員男性（３４）は、女性との性体験がないことを上司に言いふらされたり、仕事仲間から性風俗に誘われたりした経験があるという。「セクハラだ」と伝えても、「同性同士はセクハラにならない」と開き直られた。「傷つけている意識が全くない。悪気がないからこそしんどい」

　女性上司に連れていかれた店で嫌な思いをした人もいた。

　都内に住む通信関係の元会社員の男性（３６）が、転職して間もない２０１４年末、仕事の打ち上げ後に初めて訪れたバーでのこと。

　男性によると、上司と親交があるという男性店長があいさつにきて隣に座り、ズボンのチャックを下ろされた。「やめてください」と嫌がったが下着の中に手を入れられた。「上司や同僚も笑いながら見るだけで制止してくれなかった」という。

　「上司が性的なやりとりが起こりうるお店に部下を連れて行くこと自体がおかしい。自分が女性なら周囲も被害を受け止めてくれたんじゃないか」。その後も数回、同じバーに上司に連れられて行った。

　恐怖や違和感を感じながらも、周囲に相談できずにいたが、１７年冬に社内であったセクハラに関する研修で事例を聞き、「自分も被害者かもしれない」と感じた。社内の窓口に申告し、バーに誘う時に「半ば強制的な雰囲気があった」と主張した。ただ、会社側は「セクハラ行為とは認定されない」と説明。男性は社内で配置換えされたが、体調を崩して休職し、今年６月に退職した。「勇気を出して訴えたことが『男性だから』であしらわれている気がする」

　会社側は取材に対し、男性社員に対して「会社として対応できることについては最大限考慮した」などと説明している。

　男女雇用機会均等法では、性的な言動などで労働者が不利益を被ったり、職場環境が害されたりすることがないよう事業主に求めている。１４年の同法の施行規則改正では「同性間のセクハラ」も明示された。

　セクハラ問題に詳しい圷（あくつ）由美子弁護士（東京弁護士会）は「法律上は性別問わず許されない。ただ、猥談（わいだん）こそ男のコミュニケーションツールだという根深い風土がある。性風俗店への同行の強要もセクハラにあたりうる」と話す。「違和感を感じたら一人で悩まず、まず相談を」

　大正大学の田中俊之准教授（男性学）は「男性やセクハラ被害に対しての画一的なイメージが、男性の被害を潜在化させている」と話す。「被害を訴えられたときは真剣に耳を傾けることが必要です」