モーリシャスの観光業 コロナ影響に重油流出でさらなる苦境に

インド洋の島国、モーリシャスでは、新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けていた主要産業の観光業が、先月起きた貨物船の重油の流出事故でさらなる苦境に立たされるのではないかと不安が高まっています。

世界的なリゾートとして脚光を浴びているモーリシャスは観光業を経済成長の柱の1つに据えていますが、ことしは新型コロナウイルスの影響で外国人の入国を制限したため観光客が激減し、大きな打撃を受けています。

こうした中、先月25日、岡山県の長鋪汽船が所有し、商船三井がチャーターしていた貨物船「ＷＡＫＡＳＨＩＯ」が沖合で座礁し、その後、燃料の重油などが大量に流出して周辺の海岸に漂着しました。

現場から10キロ北にあるホテルは目の前に広がる青い海が人気でしたが、海岸には油が漂着し、今も回収の見通しは立っていません。

このホテルはふだんは海外からの観光客でにぎわっているということですが、新型コロナウイルスの影響で年内の予約は一つも入っていないということです。

マネージャーのメリリーヌ・アリフォンさんは「新型コロナウイルスで外国人がいなくなってから地元の人が食事に来てくれていましたが、今では事故のせいでその客もゼロです」と話していました。

また、別のレストランの女性は「入国制限がなくなっても、事故の影響でお客さんは戻ってこないでしょう。どうしていいかわかりません」と話していました。

モーリシャス政府や国連機関は、重油が漂着した海岸は一部で、観光への影響は限定的だとしていますが、地元では新型コロナウイルスと重油の流出事故で観光業がさらなる苦境に立たされるのではないかと不安が高まっています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200828/k10012587311000.html