クマに殺された温泉旅館従業員、元プロレスレフェリーだった 大仁田絶句、全女アジャ・ブル・豊田真奈美など追悼

岩手県北上市の温泉宿でツキノワグマに襲われ、出血性ショックで亡くなった従業員の笹崎勝巳さん（60）は40年近く、プロレス業界に身を置いてきた。
厳正な名レフェリーとして知られたが、「選手以外は裏方」（関係者）とされる世界。巡業時の車の運転やチケットの販売も寡黙にこなし、真摯（しんし）な人柄が慕われていた。

愛称は「ささやん」。がっしりとした体つきだったが、業界の2年後輩のリングアナウンサー、オッキー沖田さん（52）＝宇都宮市在住＝は「とにかく、優しい。敗れた若手選手を励ましたり、心配りができる人だった」と振り返る。

1989年に入社した全日本女子プロレスを退いた後も、笹崎さんは新団体の立ち上げなどに関わってきた。一方で、業界では地方巡業が多い。家族一緒に過ごす時間をとるため、転職を決意。今年3月、業界の知人が温泉宿を経営する岩手県北上市に移住する。

その直前の1月26日、笹崎さんの最後となる試合が東京・新木場で予定されていた。しかし、家族の体調が悪化したために笹崎さんは欠場。感謝のプレゼントを用意していた選手もおり、関係者を残念がらせたという。

県警は21日、遺体について笹崎さんと確認したと発表。SNSには元女子プロレスラーのアジャコングさん、ブル中野さん、豊田真奈美さんなどの数多くの追悼文が寄せられている。
オッキー沖田さんは「『よく寝坊する。でも、頑張っている』などと近況を知らせてくれていました。ありがとう、と言いたい」と静かに語った。
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