好きな女の子の上履きを盗んだことのあるやつ挙手

でも俺はこの1回だけで終わりにした。
もう二度とやらないと誓った。

俺の上履き窃盗が問題となって学級会の開かれた翌日。
予想もしていなかった大事件が起きた。

なんと。
学校全体で数十足という単位の上履きが盗まれたのだ。

もちろん、これは私の犯行ではない。

その日は「悪いことをしたな」「でもあの子が履いていた靴なんだよな」という気持ちが入り乱れて、妙な興奮が沸き起こり、帰宅後、再び上履きに射精しまくった。
2日連続での酷使にチ〇コは悲鳴を上げ、ついに出血してしまった。

そして事件は翌日に起きた。

私の学校の下駄箱には、全生徒の名前がシールで貼ってあった。
男は青枠、女は赤枠。
ジェンダーレス教育が主流な現代では考えられないが。

そのため女の子の上履きは一目瞭然。
被害者には私のクラスの子も数名含まれていた。

一瞬、犯人はタイムスリップしてきた自分なのかも？とさえ思うほど、犯人に対して「わかる」と言いたかった。

いや、そんなことを考えられる余裕は当時の俺にはなかった。
なぜなら、当日中に警察に被害届が出されたからだ。
翌日にはテレビの全国ニュースでも放送された。

もう一度言うが、今回の大規模窃盗の犯人はわたしではない。

大騒動の主は自分ではないものの。
その前日に犯行を行っているため、自分にまで捜査の手が及ぶのでは？と不安になり、この日から数週間はまともに眠れない日が続いた。
食欲もなくなったため、心配した親が「うちの子が事件を受けてショックを受けている」と学校に相談したことにより、私は教員たちの手厚い保護活動を受けることになった。

受けている自分からすれば、先生たちの一言一言が「自分を疑っているのでは？」「本当は犯人だとわかっていて試されているのでは？」とさえ思えてしまい、最終的に登校拒否になった。

もう盗んだ上履きに射精することはなかった。
それよりなにより「早く証拠を隠滅しなければ」と考えるようになった。

私の親は共働きであったが、私が学校へ行かなくなったため、交代で仕事を休んで私を見守るようになった。

それさえも「親も自分を疑っている」と捉えてしまい、全てがマイナスの方向へと考えるようになっていた。

父が帰宅して食事をした後だったと思う。
夕刊を見ていた父が「○○地区で家が燃えたみたいだな」「火の気はないというから放火なんじゃないか？」「そんなに遠くないし怖いね」と言い出し、私は「まさか」と思い再び血の気が引いていくのがわかった。

普段は新聞など読まない(読めないので)が、テレビ欄を見るフリをして火事の記事を探した。
写真には今朝自分が上履きを燃やした家が、柱だけになって燃え残っている姿が写っていた。
家の周りには消防だけでなく警察の姿もあり、自分のしたことの重大さをここで知ることになった。

もうその日から私は廃人のごとき生活となった。
学校へは行かず、日中は部屋にこもってゲームをするだけ。食べ物はほぼ食べず、水分もほとんど飲まず。
何回か栄養失調で入院させられることとなって、一度だけ精神病棟に入れられそうになった。
幸いなことに？児童用の施設が地元にはなかったので、普通の病院での入院で終わったが。

もうこのときは私の思考はどうにかなっていて「病院にいれば警察に捕まることはない」などという、意味不明な解釈をしていて、退院の話が出始めると、食事を食べずに具合が悪いふりをして入院を長引かせるという作戦を取っていた。

上履き一足を盗んだばかりに、私は小学校5、6年の学校での思い出が全くない。
卒業アルバムには小4の頃にどこかで撮った集合写真の切り抜きが貼られた。

今でも両親は「上履き盗難事件でショックを受けて自分の子はおかしくなった」と思っているだろう。

上履きは盗んではいけない。

私は今もこの教訓を胸に、在宅勤務という名の自宅警備をしている。

>>30
時系列で書けなくてすまんね。
廃屋が燃えるまでが小学校4年生のちょうど今くらいの1か月くらいの間にあったこと。
入院からそのあとは5年生以降の話。
小中と登校拒否出たので高校にも行っていない。
20代から30代にかけてはちょくちょくアルバイトをしたこともあったが、もう7～8年はほぼ家から出ていないと思う。