八潮市の陥没事故周辺の住宅で金属の変色被害、硫化水素が原因か

黒ずみで光沢を失った車のエンブレム、カビのような斑点が生じたタオル掛け――。埼玉県八潮市の道路陥没事故の現場周辺で、金属の変色被害が起きている。県は、破損した下水道管から発生する硫化水素が原因とみられるため、個別の補償を検討している。きっかけは、異変に気づいた周辺住民が声をあげたことだった。

「あれ、カビかしら」。陥没現場のすぐそばに住む女性（70）は5月、浴室のシャワーが黒ずんでいるのに気づいた。こすっても汚れが落ちず、その時は原因がわからなかった。

女性は6月15日、住民が集まる場で変色について話した。話を聞いた、事故現場から70メートルに住む木下史江さん（56）は、自宅を調べると、脱衣所のタオル掛けに無数の黒い斑点があると気づいた。自家用車のエンブレムやサイドミラーも変色していた。

近隣の車にも同様の現象があると分かった。「陥没事故と関連があるのかもしれない」。木下さんは、変色が相次いでいると県に伝えた。

その後の県の調査で、エンブレムから通常の30～100倍の硫黄成分が検出され、専門家から「硫化水素による影響が否定できない」との見解が示された。県は、変色被害を補償する検討を始めた。
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