【相撲】２４人集団感染の玉ノ井部屋　師匠が当時の心境明かす「びっくりどころの話じゃない。本当に何も言葉が出てこないというか…」

大相撲秋場所で新型コロナウイルスの集団感染が判明した玉ノ井部屋の師匠、玉ノ井親方（元大関・栃東）が３０日、報道陣の電話取材に応じ、当時の部屋の状況や心境を明かした。玉ノ井部屋では、秋場所前から部屋の力士２８人中２４人が感染。一時全員が入院したが、９月２６日までに全てが退院していた。

　集団感染が判明後初めて取材に応じた玉ノ井親方は、当時の状況を「みんな場所前まで仕上がってできていた。自分としては言われていたことはある程度やっていたつもりだったので、そういう感じになるとは全く考えていなかった」と説明した。最初に感染者が確認されたのは９月５日。その後一度は陰性判定だった力士も再検査で陽性となるなど、最終的には２４人が陽性となった。

　部屋では日本相撲協会の感染予防に関するガイドラインに沿った予防策をとり、手洗いうがい、マスク着用なども徹底していたという。「やっぱりどこかしらで、何かしらでそういうものを貰ってしまったのかなというところもある。その感染力の強さは見ていてすごいと気付かされた」と玉ノ井親方。感染が拡大した当時の心境を「びっくりどころの話じゃないですね。『えっ』っていう。本当に何も言葉が出てこないというか」と明かした。

　幸い師匠自身は、陰性だった。５月には、高田川部屋の三段目・勝武士さんが、コロナに感染し２８歳の若さで死去。それだけに「すごく心配もありましたし、本当に１日１日過ごすことで、やっぱり今何が自分にできるのかなと考えていた。早くよくなって帰ってきてくれることを、祈っていた」という。

　入院する力士１人１人には「早く元気になって戻ってこい」と声をかけた。幸い、重傷者は１人も出すことなく、入院期間は長くても２週間ほどで済んだという。師匠は「医療従事者の方のおかげで、早く力士たちも戻って来られた」と感謝した。

　感染判明後は管轄の保健所により部屋の消毒も行われ、全員が退院したタイミングで再度、消毒された。徐々に日常を取り戻し、今月中旬より稽古を再開したという。部屋の力士は全員秋場所を休場したが、協会は全ての力士の番付を据え置きとする措置を取った。玉ノ井親方は「理事長はじめ執行部の皆様方の考えでこういうふうにしていただいたというのは、僕的には本当に感謝しきれないくらいありがたい話でした」と語った。

　師匠は現在、力士の体調には細心の注意を払いながら指導にあたっているという。「最初は体の動きとかも、やっぱり１か月空くと体の芯の力というのは出てこないので。そういった面では、体をとにかくうごかしながら相撲とりなさいと言ってました」と、力士も徐々に体力を取り戻しつつある。１１月場所（同８日初日・両国国技館）まで１０日。２場所ぶりの出場に向けて「本人たちも１１月場所をとにかく出られるように一生懸命やっているので、メンタル的にはきっと今は大丈夫だと思います」とした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c3cdff71abcdaa5ede15a0fcd311a5c55f59694b

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