フランス社会の闇…2500円で客を取り、自転車の空気入れで中絶する少女たち

フランス、パリ東部のヴァンセンヌの森の暗闇のなかでは、何十という肉体が顧客に差し出されている。
こそこそとした客たちの車やバイクのヘッドライトに、彼女たちの影が照らし出される──。

パリ市内のピラミッド通りの砂っぽい歩道に立つ少女たちの肌は黒く、未成年のこともある。
彼女たちは、売春斡旋業者の過酷な搾取に苦しめられているナイジェリア出身の少女たちだ。不潔なマットレスの上や、木に寄りかかっておこなうショートタイムは20ユーロ（約2500円）だ。
多くは、ナイジェリア南部にあるエド州のベニンシティ出身である。命を危険にさらして砂漠や地中海を渡ったところで、人身売買をおこなう同郷人の犯罪ネットワークに巻き込まれてしまった。

歳をとった女性たちは、ひなびた小型トラックの中で働く。若い女性たちは手にコンドームを持って、夜明けまで、この通り沿いをうろうろしている。
初めて路上に立たされたとき、グレースはまだ13歳だった。命からがらリビアを旅立ったが、地中海で船が難破し、死んだ仲間の体を浮きにしてなんとか助かった。フランスにたどり着いたのは2014年のことだ。

もともとはイタリアの難民キャンプにいたのだが、ある売春斡旋業者に引きに抜かれたのである。その人物こそ、オモス・ワイズボーンだ。
28歳のナイジェリア人で、ナポリとパリの間で仕事をしていた。パリでは彼の妻ミリアムがグレースの監視役だった。ミリアム自身も売春婦だ。

グレースは1年以上にわたり、自分の幼ない身体を虐げる、名前も知らない男たちと森のなかを歩き続けた。その数は1000回を超えている。

懲役19年の実刑判決

オモス・ワイズボーンは、グレースが自由になるためには35000ユーロを彼に払わなければだめだと言った。
グレースはこれを支払った。「でも、これで終わりではありませんでした。私には、まだ数千ユーロの借金がありましたから」と彼女は明かす。

性的奴隷に反対する団体「女性たちのバス」（ビュス・デ・ファム）の助けによって、彼女は少しずつ解放されていく。
「最初はとても怖かったです。私はフランス語が話せなかったし、身分証明書もなく、知っている人もいませんでした」と振り返る。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e66330a96ecef538bc5f62ae9c7755bdaca0ec20