レイプしている時に流したい曲　僕は岡村孝子の 『夢をあきらめないで』

https://digital.asahi.com/articles/ASP7676RLP76UTIL04Z.html

中傷ツイート裁判で勝訴　伊藤詩織さんが語った意義

性被害を訴えるジャーナリスト伊藤詩織さんに対するツイートをめぐり、伊藤さんが東大大学院情報学環・学際情報学府の特任准教授だった大澤昇平氏を訴えた裁判で、東京地裁は6日、大澤氏に33万円の賠償と投稿の削除を命じた。伊藤さんは判決後に都内で会見し、「言葉が誰かを追い詰めてしまうことが伝わってほしい」と語った。

　伊藤さんは2017年、顔と名前を出して自らの性被害を訴えた。この日の会見では、「どんな問題も、こういった問題があると（社会が）知らなければ解決できない。経験しなければわからないことだったから話した」と振り返った。

　だがその後、SNSでの批判的な投稿などが相次いだ。

東大院の元特任准教授「男にとって敵でしかないわ」
　大澤氏は20年6月、相次いでツイートした。「伊藤詩織の何がダメダメかって、刑事裁判でレイプが認められなかったにもかかわらず、その後の民事裁判の結果をレイプを関連付けている点。やってることの筋が通っておらず全く支持できない」「具合悪そうだから介抱したのに急に『レイプされた』とか、社会的地位を落としにかかってくるのトラップ過ぎるし、男にとって敵でしかないわ」

　そのうえで大澤氏は「伊藤詩織って偽名じゃねーか！」とツイート。伊藤さんと同姓同名の通称を使う外国人の破産手続きが始まったことを記載した官報の画像も添付した。この外国人はまったくの別人で、伊藤さんは裁判で、このツイートに対する名誉毀損（きそん）を訴えた。

　判決は「違法な名誉毀損行為にあたる」と認定。一連のツイートからの流れを踏まえ、「伊藤さんへの攻撃の一環だと認められる」と指摘した。そのうえで、「伊藤さんに与えた精神的苦痛は軽視できない」とし、伊藤さんが請求した110万円の損害賠償のうち33万円を認めた。

　伊藤さんは会見で、「同じような投稿をした人はたくさんいる。判決は、大澤氏だけでなく同じように中傷した人に向けたものだ」と語った。「ここ数年、SNSが誹謗（ひぼう）中傷の現場になっており、裁判が課題を考えるきっかけになればと思う」とも述べた。

伊藤さん「誹謗中傷は言葉を沈黙させる」　
　さらに伊藤さんは、中傷そのものに対してこう訴えた。「声をあげることに対して誹謗中傷があると、自分や愛する人がそういう問題に直面したとき、自分の言葉を沈黙させ、愛する人も助けられない社会になる。声が聞こえたら耳を傾けてほしい」

　会見には伊藤さんの代理人を務める山口元一弁護士も同席した。山口弁護士は裁判所が認めた33万円という金額について「もっと高い方が良いという思いはあるが、誹謗中傷の問題は賠償額を高くしても解決しない」と指摘。「何千、何万と言葉が向けられることに非常に問題がある。こういう投稿が名誉毀損になることを知ってほしい」と話した。